統合失調症を持つ人にとって「結婚」というテーマは、不安や悩みの多いものです。日本や海外の調査データからは、結婚率や離婚率に大きな違いが見えてきます。
今回は、日本国内と海外の研究結果を紹介しながら、統合失調症と結婚の課題や可能性について考えてみたいと思います。
日本における結婚率と離婚率の実態
厚生労働省のデータから見る現実
2000年代初期のデータでは、統合失調症患者の外来患者の結婚率は約34.6%、入院患者では約14.6%とされています。また、離婚経験は外来患者で10.3%、入院患者で15.2%という数値が報告されています。
この数字からは、結婚に至るケースが限られている現実が浮かび上がります。全体的には30%強の患者さんが結婚しているので、決して結婚率は高くはないのですが、全く結婚できないわけではなさそうです。
弘前大学の研究結果
2006年に弘前大学が行った調査では、入院患者84名中26%が結婚歴を持っていました。しかし、そのうち82%が離婚経験ありという結果で、結婚生活の継続が難しいという実態も明らかになっています。
これは、病気の症状や社会的なサポート不足が影響していると考えられます。データを見る限り、結婚しても、その結婚生活を維持するのが難しいようです。やはり、統合失調症は慢性疾患であり、ちょっとしたきっかけで再発する可能性があるため結婚生活を維持するのが難しいのでしょう。
海外における結婚率と離婚率
南アジアでの高い結婚率
インドや南アジアでは、統合失調症を持つ人でも結婚率が60〜70%以上と高くなっています。これは、家族や地域社会が結婚を支える文化的背景があり、本人だけでなく「家族同士のつながり」として結婚が成立するからです。
私は南アジアではなく、東南アジアをよく旅しますが、それらの国の人々は、若くして結婚しており、家庭を持っています。全体的に若い人が多い国ですが、結婚して家族を作って生活をするというのが、1つの流れとして浸透している印象を受けました。
欧米諸国での低い傾向
一方、スウェーデンの研究では結婚率は16〜27%にとどまり、アメリカ・サンディエゴの研究では既婚者のうち46%が離婚・別離という結果が報告されています。個人主義や自立を重視する社会では、病気を抱えながら結婚生活を維持することが難しい現実があるのです。
いわゆる先進国は、発展途上国に比べて離婚率が高いようです。発展途上国は、みんなで支えるという文化があるような気がしますが、先進国は、ある程度文化が進んでいるため、病気を持つと孤立化しやすいのかもしれません。
結婚における課題と向き合い方
病気を正直に伝えることの大切さ
結婚を考えるときには、統合失調症を隠すのではなく、正直に相手に伝える勇気が必要です。信頼関係を築くためには不可欠であり、相手に理解してもらうことで安心して生活を共にすることができます。
私が過去、統合失調症を患い結婚している患者さんに結婚生活を円滑にするためのポイントを聞いたところ、ほぼ100%の方が「相手に病気を告白する」と答えました。やはり、結婚生活をスムーズに送るためには、相手に病気を伝え、理解してもらう必要があるのでしょう。
支え合える環境が必要
病気を抱える当事者にとっては、相手や家族のサポートが生活を安定させる大きな鍵となります。また、医療や福祉制度を活用しながら、二人で協力して生活を整える意識が重要です。
パートナーと共に、主治医の話を聞くというのは、かなりいい選択肢であると感じます。なぜなら、自分だけでは説明しづらい箇所も、主治医なら論理立てて説明してくれるからです。また、医師という信頼感が、相手の理解度を高めてくれるでしょう。
当事者が感じる「結婚の可能性」
「できない」と決めつけないこと
統合失調症を持っていても、結婚をして幸せな家庭を築いている人も多くいます。大切なのは、「病気があるから無理」と思い込むのではなく、自分らしい関係性を見つける姿勢です。
データを見る限り、統合失調症を患う方の結婚率は、約30%であり、決して高くはありませんが、全くゼロではないので、希望を捨てないようにしましょう。相手に病気を伝えて、理解してもらえるようになれば、健常者と同じように結婚生活を送れるかもしれません。
結婚はゴールではなく通過点
結婚すること自体が最終目的ではなく、自分らしい生き方を選び取ることが本質です。結婚はその一つの選択肢に過ぎず、病気と共にどう生きていくかを大切に考えることが必要です。
結婚がゴールになると、その後どうやって維持するのかわからなくなり、結婚生活を続けるのが難しくなるかもしれません。ですから、結婚はゴールではなく、始まりという視点で捉えて、自分のできることとできないことをはっきりさせ、パートナーと共に、障害を乗り越えていく必要がありそうです。
【まとめ】統合失調症と結婚の現実と希望
日本と海外のデータを比較すると、結婚率や離婚率には文化や社会制度による大きな差があることが分かります。
- 日本:外来患者の結婚率は約34.6%、入院患者は14.6%と低め
- 海外:南アジアは60〜70%と高いが、欧米では低い傾向
- 結婚生活を維持するには「病気を正直に伝えること」と「支え合える環境」が重要
- 結婚はゴールではなく、自分らしい生き方を選ぶ通過点
統合失調症であっても、結婚することは可能です。そのためには、病気をオープンに伝え、支え合いながら歩んでいく覚悟が求められます。結婚を考えている方は、ぜひこの記事を参考にして、相手に病気を伝える重要性を意識するようにして下さい。
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日本と海外のデータをもとに、統合失調症と結婚の課題や可能性について語りました。
「結婚できるのか不安」「実際のデータを知りたい」という方にぜひご覧いただきたい内容です。
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