自立とはひとりで頑張ることではない
支えられる自立と、支えながら生きる自立
精神疾患を抱えると、「自立=全部自分でやる」と誤解されがちです。しかし実際には、自立とは 支え合いながら、自分の選択で生きること を意味します。誰かの力を借りることは甘えではなく、生活の安定に必要なスキルの一つです。
私の印象では、私を含めて統合失調症の患者さんは人の手を煩わせるのが申し訳ないと思っているというか、助けを求めることに躊躇してしまうと感じます。ですが、助けを求めるのは弱さではなく、強さだということを覚えておきましょう。
してもらう生活から選ぶ生活へ
与えられた支援を受けるだけではなく、「この支援を使う」「今日は休む」「今日はやってみる」といった自己決定が増えるほど、自分の人生が取り戻されていきます。特に自己決定はしていかなければならないと感じます。
なぜなら、日本には色々な福祉サービスがあるためです。そのため、本当に自分に合った支援を受けるために、こちら側からも調べる必要があります。もちろん、障害福祉課やクリニックなどのケースワーカーさんなどに聞くとたくさん教えてくれるので、心配は無用です。
自己決定を取り戻す第一歩:2つのミニステップ
① 通院予約を自分で入れてみる
支援者に任せていた通院予約を、自分で入れるだけでも立派な自己決定です。スマホのカレンダーやリマインダーを使うと継続しやすくなります。統合失調症になると薬物療法が中心になります。つまり、服薬がとても大切になるのです。
ですから、クリニックには定期的に受診する必要があるでしょう。毎回通う場所だからこそ、自分で予約できるようになると効果的です。1つでも自己決定できる内容が増えると、治療にも前向きになれます。
② 薬の管理を自分で行う
繰り返しになりますが、統合失調症は薬を毎日服薬する必要があります。ですから、服薬管理だけは常日頃からしっかりしておかなければなりません。私の場合、主に下記のような方法で服薬管理しているので、ぜひ試してみてください。
・ピルケース
・薬のポケット
・飲み忘れ防止アプリ
こうしたツールを使うことで「薬の管理」という大切なスキルを自分のペースで身につけることができます。特に今の時代は誰でもスマホを持っているので、スマホのアプリを使って服薬管理すると飲み忘れが防げると思います。
他者に頼る力=自立力を高める力
頼ることと甘えることの違い
統合失調症の患者さんは、基本的に甘えることがあっても頼るのが非常に苦手という人が多いような気がします。その理由としては、「頼る」と「甘える」の意味をよくわかっていないためだと感じます。
頼る:生活の安定のために必要なサポートを適切に使う
甘える:自分でできる部分まで相手に委ねる
この違いを整理すると、頼ることへの罪悪感が減り、行動しやすくなります。そして、頼るというのは、悪いことではありません。むしろ頼ることで生活しやすくなるので、強さなのだといってもいいでしょう。
相談できる人を1人持つだけで安心感が変わる
主治医、家族、相談支援専門員、友人……。たった一人でも「相談できる存在」がいるだけで、自己決定が続けやすくなります。私の経験上、統合失調症の治療は、患者さん一人だけが参加するのではなく、関係者も一緒になって行うと効果が高いと感じています。
特に家族は、患者さんと最も近しい間柄の人間であるため、なんでも相談できる関係になっていると、回復のスピードが違うと思います。家族関係が上手くいっていない人は、主治医や友人を活用してもいいでしょう。大切なのは孤立を防ぐということです。
自立を支える「ピアサポート」という視点
支えられる側から与える側へ
自分自身の経験が、誰かの役に立つことがあります。オンラインコミュニティや自助会で、「自分もこうだったよ」と伝えるだけでも立派な支援です。特に今の時代SNSで簡単に交流できる環境が整っています。
そのようなツールを使って自分の経験を共有すると、その情報を必要としている人も少なからずいるので役に立ちます。私もこのブログやYouTubeなどを通じて、情報発信しているので、与える側になる重要性も意識しておきましょう。
与える経験が自己肯定感を強くする
誰かに感謝される体験は、自信を取り戻す大きな力になります。自分にもできることがあると感じられる瞬間は、回復の重要なステップです。人間は必要とされると嬉しくなりますし、もっと助けてあげたくなる生き物だと思います。
そして、与えられるだけではなく、与えるという経験が、より豊かな人生を形成していくのだと感じます。あなたも少しでいいので、一歩踏み出し、与える側の人間になることで、自己肯定感を強くできるでしょう。
まとめ:小さな自己決定が未来を変える
今日からできる3つの行動
人は人とつながって生きています。それを忘れないでください。そして、最後に今回の記事のまとめとして、今回紹介した内容を振り返っていきます。まずは少しずつ範囲を広げて、できることを増やしていきましょう。
- 通院予約を自分で入れる
- 薬の管理ツールを使ってみる
- 信頼できる人に一言メッセージを送る
どれか一つでも今日できれば十分です。多くの人は、たくさんやらなければ意味がないと思ってしまいがちです。しかし、一つでも十分なのです。最初は一つであっても、慣れてくると複数のタスクができるようになります。
自立は孤独になることではなく、選択肢を増やすこと
支え合いながら生きることは、立派な自立です。小さな自己決定の積み重ねが、将来への不安を少しずつ小さくしていきます。よく「私には自立は無理だ」と最初から諦めてしまう患者さんが多くいらっしゃいます。
なぜそうなってしまうかというと、最初からハードルを上げ過ぎているからです。最初から何でもかんでも自分でする必要はありません。できることから少しずつ始めていけば、自然とできることが増えていくのです。
このテーマは動画でも詳しく解説しています。通院・薬管理・つながりづくりなど、文章だけでは伝えきれない 具体的なステップを、実例とともに紹介しています。
自立に関する情報は、下記の記事でも紹介しています⬇️




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