こんにちは、ウッチーです。
「統合失調症の息子が薬を飲んでくれないの……」
と、こんな家族の悩みを聞くことがあります。
まず、断っておきたいのは、
「お薬を飲まないと再発のリスクが上がり、治療が進まない」
と、言うことです。
統合失調症の治療は、お薬の服薬が一番重要。
よって、服薬拒否すると、治療が進まないのです。
今回は、「服薬拒否」にスポットを当て、ウッチーが色々お話しします。
しっかりと薬を飲む重要性や、服薬拒否の理由、対策などを見ていきましょう。
この記事が、「服薬拒否」で困っている方の参考になれば幸いです。
□「服薬拒否」すると再発のリスクが上がる
統合失調症は、非常に再発しやすい病気です。
ウッチー自身、過去に何度か再発し、苦しい思いをしています。
そして、症状が再発したのは、決まってお薬を飲まない時でした。
ですので、
「服薬拒否が続くと、再発のリスクが上がる」
これは間違いないでしょう。
この姿勢のことを「アドヒアランス」といいます。
アドヒアランスは、統合失調症の治療で大きなカギを握っているのです。
服薬の重要性は、コチラの記事を参考にしてください↓
そもそも、統合失調症の治療を進めるためには、抗精神病薬を使う必要があります。
これは、統合失調症の症状が、脳に影響を当たるためです。
ですから、その脳の機能を整え、正常にするために、抗精神病薬が必要になります。
このような理由がある関係上、服薬しないと、治療が進みません。
進まないというよりも、悪化してしまい、苦しむ時間が増えてしまうでしょう。
「自ら治療するんだ!」
という強い気持ちが、回復を速めていくのです。
こんなデータがあります。
「勝手に服薬を中断すると、2年以内に80%が再発する」
統合失調症はかなり再発しやすい病気です。
このデータからもわかる通り、服薬拒否をすると、再発する可能性が高まるでしょう。
とはいうものの、薬を飲むのは辛いものです。
ウッチーもそうでした。
ですので、当事者の目線で、なぜ服薬拒否をするのか見ていこうと思います。
□なぜ「服薬拒否」をしてしまうのか?
繰り返しになりますが、
「統合失調症の治療には服薬が大切」
これに尽きます。
ですので、継続的に薬を飲むようにしましょう。
しかしながら、統合失調症の当事者が服薬拒否するのはよくあることです。
実を言うと、ウッチーもそうでした。
ウッチーが服薬拒否していた理由は下記のとおりです。
- 自分が病気という意識がなかった
- 副作用が嫌だった
- 薬を飲むとヤク中のようになってしまうのではないかと思っていた
以上のような理由があります。
ここで、1つずつ見ていきましょう
自分が病気という意識がなかった
ウッチーは現在、障害者手帳を申請し、障害者として生きています。
しかしながら、最初は自分が病気になったという意識がありませんでした。
自分は病気ではないと、断固として認めなかったのです。
ですから、入院中は看護師や医師を困らせていました。
それまで健常者だったので、急に統合失調症になったと言われても、実感がわかないのです。
そして、自分が病気だという意識がないと、薬なんて飲みたくないと思ってしまいます。
副作用が嫌だった
統合失調症になると、ずっとお薬を飲まなければなりません。
そうなると、必然的に副作用が出る場合が多いです。
副作用の種類はたくさんありますが、結構耐え難いものが多くしんどいのです。
ウッチーの場合、身体が震えたり、だるくなったり大変でした。
副作用が出るのが嫌だから、お薬を飲むのが億劫になってしまうのです。
ウッチーが飲んできたお薬に関しては、コチラの記事をチェックして下さい↓
薬を飲むとヤク中のようになってしまうのではないかと思っていた
ウッチーが入院していた閉鎖病棟には、薬物中毒の方がいらっしゃいました。
そんな人たちを間近で見ていたため、薬を飲むとヤク中になってしまうのでは? という恐怖がありました。
薬を飲み続けると、薬なしではいられなくなり、やがて廃人になると、妄想を広げていたのです。
このような漠然とした恐怖があったので、断固として薬を飲まない時期がありました。
全ての人にこのような理由があるとは限りませんが、近いものはあると思います。
この点を踏まえて、ウッチーが服薬拒否の対策を語ります。
□服薬拒否の対策はあるの?
「服薬しないと、治療が進まない」
「再発の可能性が高まり、苦しむ時間が増える」
服薬拒否すると、このようなリスクが増えるでしょう。
ですので、しっかりとお薬を飲んでもらうことが大切です。
基本的に、入院中は嫌でもお薬を飲まされます。
精神科の病棟は、看護師がお薬を配り、しっかり飲むまで確認しているのです。
よって、半ば強制的に薬を飲まされます。
そのため、入院中は自分で服薬管理しなくても、問題ないケースが多いです。
ウッチー自身、「嫌だ嫌だ」と言って、お薬を拒否していましたが、最終的には飲まされていました。
問題は、退院し自宅で療養するようになってからです。
ウッチーは自宅に戻り療養していましたが、上記で説明した服薬拒否する理由があったため、なかなかお薬を飲みませんでした。
その結果、再発して苦しい思いをしたのです。
そんな風にして、ウッチーの治療はなかなか進みませんでした。
では、なぜウッチーはお薬を飲むようになったのでしょうか?
その理由を、自分なりに分析してみました。
- 母親が泣いているのを見た
- 幻覚や幻聴などに苦しむのが嫌だった
- お薬に対する恐怖が消えた
このような理由があり、ウッチーはお薬を飲み始めました。
服薬拒否の対策に繋がると思うので、コチラで1つずつ解説していきます。
母親が泣いているのを見た
退院したウッチーは自宅に戻ってきましたが、病気という意識が低く、お薬を飲みませんでした。
当時、お薬の管理は家族がしており、無理矢理飲ませようとするのです。
もちろん、僕はそれに反抗して、断固としてお薬を拒否していました。
そんなことが長く続くと、母親が泣いてお薬を飲んでくれと頼むようになりました。
その涙を見て、本気で心配してくれる人がいるんだという気持ちになったのです。
両親を泣かせてはいけないと感じ、ウッチーはお薬を飲むようになりました。
ですので、本気で心配しているという姿を見せるのは、確かな効果があると感じます。
もちろん、すぐに効果が出るわけではありません。
ウッチーも、最初はお薬を飲むのが嫌で、飲まなかったのです。
しかし、何度も説得されて、本気で心配している家族の姿をみて、お薬を飲もうと思えるようになりました。
幻覚や幻聴などに苦しむのが嫌だった
ウッチーの場合、お薬を飲まないと決まって幻聴や幻覚が出るようになりました。
また、変な妄想が生まれて、苦しむハメになるのです。
幻聴や幻覚が出ると、とにかく疲弊します。
そして、このままずっと家に閉じこもってしまうのでは? という恐怖がありました。
少なくとも、
「お薬を飲めば、嫌な幻聴や幻覚が出ることはない」
それまでの体験から、そんな風に感じていました。
ですから、僕は少しずつ自分の意志でお薬を飲むようになったのです。
お薬に対する恐怖が消えた
「お薬を飲むとヤク中になってしまう」
こんな恐怖があったのは事実です。
しかし、統合失調症の薬でヤク中にはなりません。
100%ありえないので、この点は安心してください。
ウッチーの場合、担当の医師が親身になってお薬の説明をしてくれました。
また、当時僕はカウンセリングも受けていて、そこの臨床心理士さんが、お薬の重要性と、ねじ曲がった恐怖は間違いであると話してくれたのです。
統合失調症の患者は、理解力が低下するので根気強く説明することが大切です。
それでも、家族が本気で心配している姿を見たり、薬に対する漠然とした恐怖が消えたりすると、お薬を飲んでみようという気持ちになれます。
□看護師国家試験でこんな問題が出ました
服薬拒否する当事者に対して、対応を迷ってしまう家族も多いでしょう。
実は、看護師の国家試験でも服薬拒否する患者に対する問題が出題されたことがあります。
それはこんな問題です。
Aさん(42歳、男性)は、統合失調症で入院中だが、3か月の治療で症状が改善したため、退院することになった。
Aさんは、統合失調症で数回の入院経験があるが、前回の退院後に拒薬がみられたため、今回は2週間に1回の訪問看護が計画されている。
Aさんはアパートで1人で暮らしている。身体的な疾患はない。
訪問時、ごみ箱に多くの内服薬が捨てられていた。
Aさんは「その薬は飲んではいけないとみんなが言うし、飲むと体がだるくなるので飲みたくない」と言う。
看護師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
1.「そんなはずありませんよ」
2.「しばらく内服を休みましょう」
3.「服薬チェック表を使ってみましょう」
4.「薬を飲んだ後の症状を聞かせてください」
5.「薬の内容について主治医に相談してみませんか」
参考ホームページ:看護師国家試験 過去問・解答
皆さんはこの答えがわかりますか?
1つずつ見ていきましょう。
- × 患者を否定しているため、対応としてよくありません。
- × 服薬は基本的に医師の指示によって決まるので、対応としてよくありません。
- × 服薬チェック表を使うのは重要ですが、根本的な解決にならないので不正解。
- ○ 服薬後の状況を聞くのは、重要なので正解です。
- ○ 治療・服薬の継続に繋がるので、この提案は正解になります。
つまり、この問題の正解は4と5です。
コチラの問題は、看護師の問題ですが、家族が対応する場合にも、何かのヒントになるはずです。
あわせて参考にしてみてください。
□「服薬拒否」の理由を知り対策を立てていこう
今回は「服薬拒否」に関する情報をまとめました。
繰り返しになりますが、
「服薬拒否すると、治療が進まず再発のリスクが上がる」
このようになります。
統合失調症の治療は服薬が中心です。
まずは、お薬をしっかり飲めるようになりましょう。
とはいうものの、統合失調症の当事者がお薬を飲むようになるまでは結構大変です。
ウッチー自身、過去にお薬を拒否していた時期がありました。
そんな僕は下記の点に注目しています。
- 本気で心配している家族がいる
- 病気だと自覚できる
- お薬に対する正しい知識を得る
このようなポイントを守れば、自分でもお薬を飲んでみようという気持ちになれます。
特に、ウッチーは母親が泣いているのを見て、このままではダメだと感じました。
本気で心配している姿を、根気強く見せていく。
このような姿勢も、服薬拒否する当事者を説得するためには大切です。
しっかりお薬を飲めるようになれば、確実に回復しています。
ウッチーもつまずきながらも、ここまで回復してきたのです。
そして、その回復の影には、キチンとした服薬がありました。
本記事では、主に統合失調症の当事者であり、服薬拒否の経験のあるウッチーが、服薬拒否の理由や対策をまとめてきました。
きっと、何かの参考になるはず。
この記事が、服薬拒否の当事者を抱える家族の参考になれば幸いです。
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