統合失調症を持っている人にとって、自宅は「休む場所」であると同時に「回復の拠点」でもあります。しかし、家にいても落ち着かない、音や光が気になる、という人も少なくありません。
そんなときに役立つのが「安全地帯(セーフゾーン)」の考え方です。この記事では、僕自身の経験を交えながら、自宅でできる安全地帯の作り方や工夫を紹介します。
そもそも「安全地帯」とは?
心が休まる“安心の空間”
安全地帯とは、自分が安心して過ごせる空間や状況のこと。病気の症状が出ているときでも、そこに戻れば「少し落ち着ける」という場所を意味します。例えば、静かな部屋・お気に入りの椅子・音楽を聴けるスペースなど、人によって形はさまざまです。
安心できる空間があると、そこに行くことで気分がリフレッシュされ、ストレスの発散にもつながります。統合失調症だからこそ、このような安心できる空間を作っておく必要があるのです。
安全地帯を作る目的
安全地帯は、「症状を消す」ためではなく、自分を守るための環境を整えることが目的です。ストレスや不安を感じたとき、そこに戻ることで自分をリセットし、心を回復させやすくします。
特に統合失調症の患者さんはストレスに対する耐性が低かったりするので、安心できる場所を作ってストレスを発散させるための仕組みを作らなければなりません。少し落ち着くというのが選ぶ時のポイントです。
自宅でできる安全地帯づくりの工夫
部屋の一角に“安心スペース”を作る
広い場所を用意する必要はありません。机の周り、ベッドの横、窓際など、「ここに座ると落ち着く」と感じるスペースをつくりましょう。私の場合は、部屋の一角に机を置き、好きな本や絵の道具を並べています。そこに座ると自然に安心できます。
自分の好きなものに囲まれている時は、どんな人でも幸せを感じるものでしょう。決して高価なものは必要ありません。例え安くても、自分の気に入ったモノだと落ちつけるようになるのです。
照明やカーテンで刺激を減らす
光や音の刺激は、統合失調症の症状を悪化させることがあります。カーテンを閉めすぎず、やわらかい光が入るように調整する、暖色系の照明に変えるなど、環境の工夫が効果的です。
統合失調症の患者さんは、音に敏感だったり、神経が過敏だったりします。だからこそ、部屋の環境作りは非常に大切になるのです。特に照明やカーテンなどにこだわるとあなただけの落ちつける部屋が作れるでしょう。
心が落ち着く“モノ”を取り入れる
安心感を与えるアイテム
ぬいぐるみ、観葉植物、香りの良いハーブ、好きな本など、「見て安心できるもの」を身近に置くことが大切です。特に植物や自然を感じられるものは、心を落ち着かせる効果があります。
安心感を与えるアイテムはなんでも構いません。そして特別高くなくてもいいのです。要は自分がリラックスできるモノを揃えるようにしてください。それらに囲まれると、その空間が落ちつける場所となります。
五感を使ってリラックス
音楽やアロマなど、五感を刺激するアイテムを取り入れることで、緊張をほぐすことができます。僕は、疲れたときに静かなピアノ音楽を流し、深呼吸をして心を落ち着かせています。
私の場合、お香を焚いたり、クラシック音楽を聞いたりしてリラックスしています。特にお香は「白檀」というインド系のお香を使っており、この匂いを嗅ぐと非常にリラックスできるのです。
日常ルーティンを作ることで“安心”を習慣に
帰宅後のルーティンを決める
自宅に帰ったら、「安心モードに切り替える」ための習慣を取り入れましょう。たとえば、音楽を流す・お茶を入れる・窓を開けて空気を入れ替えるなど。小さな動作が、「家=安心できる場所」という意識を定着させます。
自宅は最も手軽に作れる安心できる場所です。誰しも住んでいる場所を持っていますし、そこにいる時間が長いでしょう。だからこそ、まずは自宅を安全地帯として活用できると治療も円滑に進みます。
ルーティンがもたらす安定感
同じ行動を毎日続けることで、脳が「この動作をすると安心できる」と学習します。その積み重ねが、症状の安定やストレス軽減にもつながります。ルーティン化は非常にオススメです。
生活の中に一連の流れである動作を組み込むと、それが一種の儀式となり、それを行うことで調子を維持できるようになるのです。また、ルーティン化すると生活の一部となるのでいつしかそれが当たり前になります。
【まとめ】自分にとっての“安全地帯”を見つけよう
統合失調症と付き合っていくうえで、自宅に「安全地帯」を持つことは大きな支えになります。
- 安心できる場所をつくる
- 刺激を減らす環境づくりを意識する
- 心が落ち着くアイテムを取り入れる
- ルーティンで“安心の習慣”を育てる
安全地帯は、他人が決めるものではなく、自分自身が「ここなら大丈夫」と思える空間です。少しずつ、自分らしい安心の形を探してみてください。まずは自宅を安全地帯に変えて、症状をコントロールできるようになりましょう。
▶ 動画はこちらからご覧いただけます
🏡 統合失調症と「安全地帯(自宅編)」について、当事者の経験をもとに解説しました。
家で安心して過ごすためのヒントを知りたい方は、ぜひ動画をご覧ください。
統合失調症とストレスの関係についてまとめた記事はこちらです⬇️




コメント