障害を持ちながら働くうえで欠かせないキーワード、それが「合理的配慮」です。就労継続支援A型・B型作業所や企業の障害者雇用では、この考え方が働きやすさの基盤になっています。
今回は、僕自身の経験をもとに、合理的配慮の意味・現場での実例・注意点などをわかりやすくまとめました。「配慮」と聞くと特別扱いのように感じるかもしれませんが、実は誰もが安心して働くための“合理的な工夫”なんです。
合理的配慮とは? ― 特別扱いではなく“働きやすさ”の仕組み
法律に基づく支援の仕組み
「合理的配慮」は、障害者総合支援法と障害者差別解消法で定められた考え方です。障害を理由に不利益を受けないよう、企業や福祉事業所が必要な環境整備を行う義務があります。
たとえば、
- 作業手順を何度も丁寧に説明してもらう
- 勤務時間や通勤時間を調整してもらう
- 一人作業を希望してペア作業を避ける
といった調整も、立派な合理的配慮です。このような配慮を受けられると、統合失調症の患者さんであっても、安心して無理なく働き続けられるでしょう。私自身、合理的配慮を受けて就労していますが、非常に優れた支援サービスであると感じています。
“優遇”ではなく“公平”を生む工夫
合理的配慮は「特別扱い」ではなく、「平等な機会をつくるための工夫」です。健常者と同じ条件で競うのではなく、それぞれが持っている力を発揮できる環境を整えることが目的です。だからこそ、本人と職場の双方が“話し合いながら作る”ことが重要です。
私もいくつかの作業所や職場で合理的配慮を受けてきましたが、やはり働いてからの安心度がとても高いです。自分の障害特性に応じた配慮を受けられると、できるだけストレスを減らした状態で働けるので、ぜひ覚えておいてください。
職場での合理的配慮の実例 ― 働きやすさを支える工夫
環境調整の工夫(音・空間・作業内容)
僕がA型作業所で働いていたとき、イヤホンで音楽を聴きながら作業することを許可されていました。これは、周囲の雑音や人の声に過敏に反応してしまう僕にとって、集中力を保つ大切な工夫でした。
また、作業の順番を視覚的に表示してもらうことで、混乱を防ぎ、安心して作業を進められるようになりました。このような「環境の調整」も合理的配慮の一つです。やはり、配慮があった方が仕事がやりやすいですし、覚えるのが苦手でも問題なくできるようになるでしょう。
人間関係の工夫(安心できるコミュニケーション)
もう一つ印象に残っているのは、「何度聞いても怒られない」雰囲気づくり。ミスや質問をしても、スタッフが責めずに丁寧に答えてくれる。その安心感が、長く働き続ける力につながると感じました。また、定期的な面談を設けて、体調や生活の変化を共有できることも重要なサポートでした。
例えばクローズで就職すると、このような配慮は全く受けられませんが、障害者雇用や作業所では、合理的配慮により、安心して働き始められます。実際に許容される配慮であれば、丁寧に行ってくれるので、安心感につながりました。
就労支援の現場での合理的配慮 ― A型・B型での違い
A型作業所の合理的配慮
A型作業所では、雇用契約のもとで働くため、出勤や業務ルールは厳しめです。
その代わり、
- 勤務時間を午前だけにする
- 通院日を考慮したシフトを組む
- 作業内容を得意分野に合わせる
といった柔軟な対応が取られます。
「体調を優先して働ける仕組み」が、A型の大きな安心材料でした。A型はどちらかというと一般就労に近い就労形態なので、合理的配慮を受けて、自分の苦手な部分を援助しながら働いた方が、ストレスなく作業を行えると思います。
B型作業所の合理的配慮
B型作業所は、よりリハビリや社会参加を重視した環境です。創作や軽作業などを中心に、体調に合わせて参加できます。
ここでは、
- 体調不良時にすぐ休める
- 作業量を調整できる
- 無理なく人と関われる
といった“回復を支える配慮”が中心でした。私はA型・B型両方の作業所の経験がありますが、合理的配慮に関していうと、そこまで大きな差がなかったと感じています。どちらも障害特性に応じた配慮を行ってくれるでしょう。
合理的配慮の注意点と限界 ― できること・できないこと
配慮の範囲には“限界”がある
合理的配慮は大切ですが、すべての希望が叶うわけではありません。職場の人員や環境によっては、対応が難しい場合もあります。つまり、何もかも受け入れられるわけではなく、配慮とわがままの違いを明確に理解しておく必要があるでしょう。
たとえば、
- 完全な在宅勤務を希望しても、業務内容的に不可能
- 常に同じ人と組むことができない
といったケースもあります。
重要なのは、“できる範囲でどう調整するか”を一緒に話し合うことです。作業所や障害者雇用では、担当のスタッフや上司と相談しながら受けられる配慮を決められます。その話し合いの中で、「できる」「できない」をあらかじめ把握するようにしましょう。
就労定着支援との連携も必要
就労後のフォローは、「就労定着支援事業所」が担当します。合理的配慮がうまく機能するよう、職場と支援機関が連携する体制が整っているかを確認することも大切です。自分一人で抱え込まず、支援者や家族、主治医とも相談しながら進めることで、長期的な就労が安定します。
私も定着支援を受けた経験がありますが、これは非常に優れたサービスです。実際に自分から上司や担当のスタッフに言うのは難しい面がありますが、定着支援を受けると、支援員が間に入って仲介してくれるので、言いたいことが言いやすかった印象があります。
【まとめ】“病気を隠さなくてもいい職場”が安心の鍵
合理的配慮は、働く人と職場が信頼関係を築くための共通言語です。僕自身、「病気を隠さなくてもいい職場」で働けたことが、一番の安心につながりました。
- 働きやすさを整える工夫=合理的配慮
- 無理をせず、自分のペースを尊重する環境
- 対話と理解が、長く働く力になる
就労支援を利用している方も、これから就職を目指す方も、「どんな配慮があれば安心できるか」を考えることが、第一歩になります。就労は簡単ではありませんが、今回紹介した合理的配慮を上手く活用し、ストレスなく働き続けられるようにしましょう。
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💼 障害者雇用や就労支援で欠かせない「合理的配慮」について、当事者の体験をもとに解説しています。
実際の職場での例や、注意点もわかりやすく紹介。
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