統合失調症の当事者にとって、職場や作業所での「人間関係の距離感」は大きなテーマです。支え合える環境は回復の力になりますが、干渉や誤解がストレスにつながることもあります。
この記事では、A型・B型作業所から一般就労まで、僕自身の経験を交えながら、「どこまで病気を打ち明けるか」「どんな距離を保つか」のポイントをまとめました。
A型・B型作業所の人間関係 ― 病気を隠さず過ごせる安心感
A型作業所 ― 働く訓練の場であり社会との接点
A型作業所は、雇用契約がある就労訓練の場です。一般の職場に近い形で働きながらも、体調や生活リズムに配慮してもらえる環境が整っています。私もA・B型共に通ったことがありますが、どちらもいい経験ができたと思っています。
ちなみに私が通っていたA型作業所では、ライティングや軽作業などを行っていました。同じ病気や悩みを持つ人が多く、「病気を隠さなくてもいい」という安心感がありました。一方で、関係が近くなりすぎるとトラブルが起きやすいため、適度な距離感が大切です。
B型作業所 ― 自由度の高い創作と交流の場
B型作業所は、自己表現や創作を中心にした場です。賃金は工賃制で金銭的には少ないですが、趣味や創作活動を通じて自己肯定感を育てられます。工賃は時給に換算すると大体200円くらいです。ですので、月の収入は2〜3万円前後になると思います。
人間関係はアットホームですが、干渉されすぎない工夫も必要。例えば「今は集中したい」と伝えるだけで、空気が和らぐこともあります。B型では仲良くしすぎず、孤立もしないバランスが心の安定を支えます。最初から就職は難しくても、B型なら自分のペースで始められるのでオススメです。
一般就労での打ち明け方 ― 慎重さと信頼の両立
打ち明けるかどうかは「合理的配慮」の有無で判断
一般就労の場合、病気を伝えるかどうかは慎重に考える必要があります。会社によっては「合理的配慮」の制度が整っていることもありますが、まだ十分ではありません。ただ、障害者雇用の実績がある企業は、比較的制度が整っていると感じました。
まずは、職場の雰囲気や上司の理解度を見極めましょう。困ったときに相談できる雰囲気があるなら、正直に話しても良いかもしれません。一方で、理解が難しそうな場合は、産業医や人事を通して伝える方法もあります。
伝えるときは「病名+接してほしい方法」
統合失調症という言葉だけを伝えると、相手が戸惑うことがあります。そのため、「どう接してもらえると助かるか」を具体的に伝えるのがポイントです。
たとえば、
- 「疲れたときに少し休憩を取らせてもらえると助かります」
- 「急な変化があると不安になるので、事前に教えてほしいです」
といった伝え方なら、相手も理解しやすくなります。ちなみに、合理的配慮はなんでも聞いてもらえるわけでなく、ワガママとの線引きが必要になります。そのため、ある程度は配慮される可能性がありますが、難しい面もあることを覚えておきましょう。
距離を取りすぎず、依存しすぎない関係の作り方
話しすぎない勇気も必要
職場や作業所では、同じ空間で過ごす時間が長い分、つい何でも話したくなります。ですが、プライベートや病状の話をしすぎない勇気も大切です。同僚との関係は意外と難しいのですが、特別な関係ではなく、単なる同僚という関係であれば、あえて病気について話す必要はないでしょう。
私自身、以前は「打ち明けるほど理解してもらえる」と思っていました。しかし実際には、相手に負担を感じさせてしまうこともありました。信頼関係を作るために、すべてを話す必要はないと気づいてから、人間関係が安定しました。
相手との心の距離を意識する
距離を取ると聞くと冷たく感じるかもしれませんが、実際は「お互いが安心できる距離」を保つことが一番の思いやりです。
たとえば、
- 相手のペースに無理に合わせない
- 自分の感情を押し付けない
- 1人の時間も大切にする
こうした小さな意識が、信頼を長く保つ土台になります。距離の取り方は難しいのですが、私の場合、仕事だけの関係であれば、挨拶したり、軽く日常の話をするくらいの関係性が一番適しているように感じました。
職場・作業所での人間関係を楽にする工夫
安心できる味方を1人見つける
すべての人と仲良くする必要はありません。むしろ、1人だけでも安心して話せる人がいれば十分です。作業所ではスタッフ、職場では同僚や上司など、「この人なら大丈夫」と思える人を見つけておくことで、心の負担が軽くなります。
作業所では生活指導員などが在籍しているので、まずは話しやすいスタッフを探して、その人だけにはいろいろ話しておき、何かあった時に対処してもらえるようにすると、安心して働けるでしょう。
ストレスを感じたら距離を置く
人間関係に疲れたときは、無理せず一時的に距離を取りましょう。連絡を控えたり、作業のペースを落としたりして構いません。「また話したい」と思えるまで休むことが、結果的に関係を長持ちさせるコツです。
私が経験した作業所では、基本的に利用者同士の連絡先の交換ができないようなルールがあったので、深い関係にはなりませんでした。それでも朝や帰る時など挨拶して、最低限の関係だけは保つようにしていました。要は、無理して深い仲になる必要はないということです。
【まとめ】打ち明ける勇気と距離感の知恵が、働きやすさをつくる
職場でも作業所でも、統合失調症の人にとって人間関係は大きな課題です。けれど、打ち明け方と距離感を工夫することで、安心して働ける環境を作ることができます。最後に、まとめとして今回の記事で紹介した内容を振り返っていきましょう。
- A型・B型では病気を隠さなくてもいい環境を活かす
- 一般就労では「合理的配慮」を意識し、信頼できる人にだけ伝える
- 病名よりも「接し方の希望」を伝える
- 距離を取りすぎず、依存しすぎない
無理に頑張るよりも、「ちょうどいい距離」で関わること。それが、長く続けられる働き方の秘訣です。職場の距離感は難しい面があるのですが、挨拶し、日常の会話が少しできるくらいのライトな関係で十分ですので、あまり神経質にならず、気楽に考えるといいでしょう。
▶ 動画はこちらからご覧いただけます
💬 A型・B型作業所と一般就労、それぞれでの人間関係や距離感、打ち明け方の工夫を解説。
統合失調症の当事者が実体験をもとに、安心して働くためのヒントを紹介します。
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