はじめに
精神疾患にまつわる偏見や誤解は、当事者にとって大きなストレスとなり、時には症状の悪化にもつながります。しかし、偏見は悪意ではなく無知から生まれることも多く、正しい向き合い方を知ることで気持ちが少し軽くなることがあります。
この記事では、今回の動画でお話しした「誤解を減らす工夫」と「自分を守る工夫」の両方を解説します。人間関係に悩んでいる方や、精神疾患を理解したいと思っている方にとって、少しでもヒントになれば嬉しいです。
精神疾患への偏見や誤解はなぜ生まれるのか?
偏見の多くは無知から始まる
精神疾患は目に見えないため、周囲の人に症状のつらさや生活の工夫が伝わりにくいものです。その結果、「怠けているだけ」「気の持ちよう」という短絡的な誤解が起こりやすくなります。
特に、統合失調症はなかなか説明しにくい病気でもあるため、理解が進んでおらず、その結果偏見が生まれるという負のサイクルが発生しているのです。私も色々な人に会ってきましたが、統合失調症について正しい知識を持っている人は、ほとんどいませんでした。
言葉の影響は想像以上に大きい
「怖い病気なんでしょ?」
「働けるなら病気じゃないよね?」
こうした言葉が当事者に与えるショックは大きく、孤独感を強めてしまいます。理解されないつらさが、症状以上に苦しい瞬間もあります。特に、メディアが伝える誤った統合失調症像がよくありません。
精神障害者が危険というような撮り方をしているので、何も知らない人が見たら、精神障害=危ないと思ってしまうかもしれません。このような背景があるため、当事者は時としてショックを受けてしまうわけです。
誤解を減らすための伝え方の工夫
比喩や身近な例を使うと理解が進みやすい
専門的な話よりも、相手がイメージしやすい例えを使うと誤解が少なくなります。「風邪と同じで、波がある」「薬は体調を安定させるためのもの」など、日常的な言葉に置き換えて伝える工夫が役立ちます。
また、幻聴や妄想などの代表的な症状を言うときは、なるべくわかりやすい言葉を使うといいと思います。特に陽性症状は抽象的な説明になりやすいので、小学生にもわかるような形で説明するといいでしょう。
日常の発信で「普通の生活」を知ってもらう
SNSやブログで、無理のない範囲で日常や考え方を共有すると、精神疾患=特別という誤解が減りやすくなります。小さな発信でも、身近な理解者を増やすきっかけになります。特に今の時代、誰でもスマホを持っているので、ネットを通じて発信しやすいです。
私もこのようにブログを通じて情報を発信しています。まだまだ統合失調症に対する理解が進んでいないと思いますし、もっと多くの人に病気について知ってもらいたいからです。一人ひとりの地道な活動が理解の輪を広げると思います。
自分を守るための距離感の工夫
全員に理解してもらう必要はない
理解してほしい気持ちは自然ですが、すべての人に深い理解を求めると疲れてしまいます。信頼できる人を中心に距離を築くだけで、心の負担が大きく減ります。というよりも、この世界の全ての人に統合失調症を理解してもらうというのはできないでしょう。
人それぞれですし、精神障害について理解を示してくれる人もいれば、そうでない人もいるわけです。しかし、だからといって何もしないと、いつまで経っても理解されません。ですから、まずはあなたの身の回りの人に、正しく病気について知らせるようにしてください。
伝える範囲は自分で選べる
病名を言うかどうかは義務ではありません。「こう接してほしい」という具体的な希望だけ伝える方法もあります。自分の安全を守りながら距離を取ることで、人間関係のストレスが少なくなります。
私の経験を元にお話しすると、障害については会った人全員に言う必要はないと思います。ですが、近しい関係の人には話しておいた方がいいでしょう。ある程度関係が深い人なら、理解を示す可能性が高いですし、あなたの良き理解者となってくれるはずです。
偏見に傷ついたときの心の回復法
感情を否定せず、まずは受け止める
つらい言葉を受けたとき、「傷ついた自分」を責める必要はありません。ショックや怒りは自然な反応です。まずはその感情をそのまま認めることが回復の第一歩となります。色んな人がいますから、時には厳しい言葉を言われる時もあるでしょう。
そのような時は、誰だってショックを受け傷つきます。ですが、それだけが全てではなく、別の可能性も同時に考えるようにするといいでしょう。「もしかしたらこう思っているかもしれない」と、選択肢を複数考えておくと、ショックを分散できる感じがします。
信頼できる人に話す・書くなどで整理する
家族・友人・支援者など、安全な相手に話すことで気持ちが軽くなります。言葉にできないときは、メモや日記に書き出すだけでも心が整理されていきます。特に日記を書くのはおすすめです。溜まったストレスの吐き口になるからです。
また、信頼できる人にも積極的に話すようにしましょう。会話は生活の質を上げてくれます。友人をはじめ、家族や主治医などでもいいと思います。これにプラスして、日記を書いて気持ちを整理すると統合失調症と上手く折り合いがつけられるでしょう。
【まとめ】誤解を減らしながら、自分も守るバランスを大切に
伝える努力と自分の安定を両立させる
偏見を一気になくすことはできませんが、少しずつ理解者を増やすことは可能です。同時に、「無理をしない」ことが最も大切です。そして、理解者が増えていけば、もっと生きやすい社会になると思います。
統合失調症はまだまだ偏見が多いですが、諦めてはいけません。一人ひとりの力は小さくても、それが積み重なっていけば、今よりももっと多くの人が統合失調症について知ってくれると思います。まずは、無理のない範囲で少しずつ理解者を増やしましょう。
自分を大切にしながら前に進めば、関係性は変わっていく
伝える工夫、自分を守る工夫を続けていけば、人間関係のストレスは確実に減っていきます。理解してくれる人は必ずいるので、安心して一歩ずつ進んでいきましょう。理解してくれない人は、残念ながら一定数います。
しかし、逆に理解してくれる人たちも一定数いるのです。そして、理解してくれる人たちの方が、世の中には多いと思います。ですから、まずは身近な人たちをあなたの理解者にするために、少しずつ対話を進め、偏見を少しでも無くしていきましょう。
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