「統合失調症になると金銭管理が難しくなるって聞くけどホント?」
と、このような悩みを抱える当事者や家族の方が多いようです。
結論からお話すると――。
「訓練すれば問題なく金銭管理はできるようになります」
ですので、この点はあまり過度に心配する必要はありません。
今回は、統合失調症の患者さんが抱える金銭管理の問題と解決法をまとめていきます。
この記事が、統合失調症になったけど、金銭管理をしっかりとしたいと考える方の参考になれば幸いです。
本記事はこんなに人にオススメ
- 統合失調症になり金銭管理に不安がある方
- 金銭管理をさせたいけどなかなかできずに困っている家族
□統合失調症になると金銭管理ができなくなる理由
統合失調症の患者さんの中には、金銭管理ができなくて困っている方がいらっしゃいます。
例えば、一人暮らしを始めるのであれば、金銭管理ができないと生活できません。
では、なぜ統合失調症になると金銭管理が難しくなるのでしょうか?

ウッチーは次のような理由があると考えます。
- 主に社会生活機能が低下するため
- 入院が長く続き、金銭感覚が養われないため
このような理由があるのではないでしょうか?
1つずつ見ていきましょう。
金銭管理が難しくなる理由① 社会生活技能の低下
統合失調症になると、社会生活技能が低下してしまいます。
これは、陽性症状という「幻覚」「妄想」などを経験し、その後、陰性症状という「無気力」になる状態になるために起こります。
特に療養中は、自宅でこもりがちになるでしょう。
そうなると、社会生活技能がどんどんと衰えてしまうのです。
ですから、金銭管理が難しくなってしまい、破綻する方が増えるのでしょう。
金銭管理が難しくなる理由② 入院が長引いたため
統合失調症になると、場合によっては入院します。
基本的に、精神科の入院は2、3日という短期ではなく、数カ月かかります。
そして、入院中はお金の管理をしてもらうので、あまりお金を使いません。
ですが、いざ退院して、お金を使う場面が増えると、一気に使ってしまったりするのです。
これは、入院が長くなった人によく現れるようになっています。
このような理由があり、統合失調症になると、金銭管理が難しくなるのではないでしょうか?
これを踏まえて、どんな対策をすればいいのかまとめていきます。
□金銭管理をするためには本人の自覚が大切
統合失調症になると、収入面は結構限られます。
普通に働ければ、ある程度のお金がもらえますが、なかなかフルタイムで働くのは大変です。
例えば、働けなくなった場合は、
- 障害年金
- 生活保護
- 仕送り
などを使って生活していくでしょう。
どれも、贅沢できるような金額はもらえません。
よって、与えられたわずかな収入源から、生活をやりくりしていかないとならないのです。
自分の収入源をしっかりと把握し、まずはどのくらいの収入になるのか確認しましょう。
そして、そこから、生活費などを差し引いていって、どのくらい必要になるかまとめます。
そうしていくと、月にどれだけ使って、どれくらい余裕があるのかわかります。
これをしっかりできるようにならないと、恐らく一人暮らしは難しいでしょう。
自分の経済状況に合わせて、暮らしていく必要があります。
あれも欲しい、これも欲しい、と、言っていたら、やはりお金は足りなくなるでしょう。
金銭管理をするためには、本人の自覚が一番大切だと感じます。
- 自分も社会生活を送りたい
- 一人暮らしをして生活したい
など、考えるのであれば、金銭管理ができるようにならないとダメです。
金銭管理をするためのポイント① 週ごとにお金の管理をする
最初から1ヶ月ぶんのお金を渡して、金銭管理をしていくのは難しいです。
ですから、1週間ごとにお金を渡して、それで生活できるかやってみましょう。
1週間ごとにお金を区切っていけば、1週間でどれだけお金がかかるかわかります。
また、それを4回繰り返せば、1ヶ月生活ができるのです。
このようにして、最初は1週間ごとにお金の管理ができるようになりましょう。
金銭管理をするためのポイント② 慣れてきたら家計簿をつけると◎
ウッチーは意外とまめなところがあるので、家計簿をつけています。
こうすると――。
- もっと節約できる部分はないか?
- 使いすぎている場所はないか?
などがわかるようになります。
家計簿をつけると、与えられたお金から逆算して生活費を考えるようになるのでオススメです。
□統合失調症の金銭管理をまとめた研究者の報告書
実は、統合失調症を始め、精神疾患を抱えた方を対象にした、金銭管理の問題や対策をまとめた報告書があるのです。
その報告書によると、多くの患者さんは、最初ほとんど金銭管理ができませんでした。
しかし、ケースワーカーや精神保健福祉士などと協力して、金銭管理のトレーニングをしていったところ、大幅に改善が見られたとしています。
つまり、統合失調症になっても、トレーニングを重ねれば、金銭管理はできるようになるのです。
この報告書によると、客観的評価だけで、患者さんを評価していくのはよくないとしています。
患者さんが、現状の金銭管理能力が把握できるプログラムがあれば、可能な限り本人が理解した上で、他の制度(日常生活自立支援事業・成年後見制度)の利用に向けて動き出せます。
また、こうすると、スムーズに金銭管理のトレーニングができるかもしれないし、摩擦が起きにくいでしょう。
入院中であれ、地域で生活している者であれ、理解できる部分があるならば、そこに働きかけるのが重要です。
そして、本人の能力を最大限に発揮できることが望ましいと言えるでしょう。
また、患者さんに、十分なアプローチをしたのちに、補助的な資源として、制度の利用を検討すべきだと思います。
この報告書では、最後のまとめとして、当事者が自己の金銭管理能力を把握し、理解するために“気づき”を促すことが重要としています。
そして、金銭管理に関して本人が現状を認識できることを目指したプログラムに関する検討を行っていきたいと考えているとまとめてありました。
□統合失調症になっても金銭管理はできるようになるので安心しよう
今回は統合失調症の金銭管理の問題や解決策をまとめました。
統合失調症になっても、自分らしく生きていくためには、金銭管理ができないと大変です。
最初から100%完璧にこなすのは難しいですが、トレーニングをすれば金銭管理能力は向上します。
最後のまとめとして、この記事で紹介した内容を振り返っていきます。
- 統合失調症になると金銭管理ができなくなる理由
- 金銭管理をするためには本人の自覚が大切
- 統合失調症の金銭管理をまとめた研究者の報告書
以上3つの内容でお届けしました。
金銭管理能力を身につけて、生活できるようになりましょう。
この記事が、統合失調症になり金銭管理がしたいと考える方の参考になれば幸いです。


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