統合失調症と仕事のバランス|1日4〜5時間勤務で無理なく働く方法

家族に知ってもらいたいこと

「統合失調症を抱えながら働く」

それは、体調の波と向き合いながら社会とのつながりを保つという、簡単ではない挑戦です。フルタイムで働けば体調を崩すリスクが高まり、働かないままでいると社会から孤立してしまう不安が募る。その中で僕がたどり着いたのが、「1日4〜5時間だけ働く」というバランスの取り方でした。

この記事では、当事者としての実体験をもとに、働き方の工夫や心の持ち方をお伝えします。

働かない不安と、働きすぎのリスク ― 心と体の狭間で揺れる日々

働かない安心感と孤立感

統合失調症の症状が強い時期、僕は仕事を休むことが続きました。休むことで体調は少し安定しましたが、その一方で、「社会から取り残されていくような不安」を感じるようになったのです。こういった不安は統合失調症の患者さんであれば誰でもあるかもしれません。

朝、通勤する人々を見て、「自分だけ止まっている」と感じるあの感覚。働かないことが安心でもあり、同時に心を閉ざす要因にもなっていました。自分は取り残されているという感覚は、非常に耐え難く、統合失調症の当事者を煩わせるのです。

働きすぎによる再発リスク

一方で、「頑張らなきゃ」と思ってフルタイム勤務を再開した時期もありました。しかし、無理が重なり、睡眠不足や幻聴の再発に悩まされる結果に。医師からも「働くこと自体はいいけれど、“量”を調整することが大事」と言われ、そこから“仕事と体調のバランス”を真剣に考えるようになりました。

統合失調症になると就業そのものがストレスとなり、最悪の場合、再発するリスクもあります。だからといっていつまでも家の中にいるのは精神的に辛いでしょう。だからこそ、仕事の量を調整して働く必要があるのです。

理想のペースは“1日4〜5時間” ― 無理なく続けるための工夫

午前だけ・午後だけの勤務スタイル

僕が最終的に落ち着いたのが、「1日4〜5時間の勤務」。A型作業所では午前だけ働く日もあれば、午後から出勤する日もありました。この働き方なら、通院・服薬・休息を両立できます。朝が苦手な人は午後勤務、午後に疲れが出やすい人は午前勤務など、体調に合わせた時間帯を選べるのも大きなメリットです。

A型の作業所は、就労の機会を与えてくれる福祉サービスの一つなので、ストレスをなるべくかけずに働けるでしょう。実際に私も長らくA型に通い続け、精神的にも安定しながら働けました。就労の最初の一歩としてA型を選ぶのはいい選択肢だと思います。

週3〜4日勤務で“リズム”をつくる

週5日連続で働くと疲労がたまりやすいため、週3〜4日の勤務ペースが理想的でした。「休みながら働く」ことを意識することで、再発防止と生活リズムの安定を両立できます。働く時間よりも、「続けられるリズムを作る」ことが何より大切だと感じています。

例えば、一般就労できたとしても、1ヶ月続かず辞めてしまったらあまり意味はありません。ですから、仕事時間は短くてもいいから長く続けられる工夫をする必要があるのです。そういった点では、A型の作業所は障害を持つ方が働きやすいように色々と配慮してくれるのでオススメです。

自分に合った働き方を選ぶ ― A型・B型・創作活動という選択肢

安定収入を目指すならA型

A型作業所は、雇用契約を結び、最低賃金が支払われる職場です。一般就労に近い環境で働くため、「社会に出る練習」としても最適です。私が通っていたA型では、ライティングや軽作業などの業務を担当していました。1日4〜5時間勤務でも、しっかりと「働いている実感」が得られました。

A型の仕事内容は、内職や軽作業などが一般的で、あまり選べないのが難点なのですが、それでも働くリズムを作れますし、慣れてきたら一般就労に向けてステップアップできます。ですので、まずはA型で基盤を作り、後の一般就労に繋げるという考え方は決して間違いではないと思います。

自由度重視ならB型・創作活動

一方、B型作業所は体調やペースに合わせて通える自由な環境です。工賃は少ないですが、絵や音楽、手芸などの創作活動を通して心を整えることができます。僕自身も、B型でイラストや漫画制作を続ける中で、「自分の表現が社会とつながる感覚」を得られました。働く=収入だけでなく、生きる目的や安心を感じられる場にもなるのです。

B型は工賃が非常に低いというデメリットがあるのですが、それ以上に生活リズムを作り、仕事をしていくための下地が作れる点は大きなメリットだと思います。いきなり就職するのが不安でも、まずはB型からなら上手く働けるかもしれません。

焦らず、比べず、自分のペースで ― 病気と向き合いながら働く心構え

「みんなと同じでなくていい」という発想

僕がA型で働き始めた頃、周囲の人がフルタイム勤務や正社員として働いているのを見て、「自分は遅れている」と感じることがよくありました。しかし、ある時スタッフさんに言われた一言が心に残っています。「誰かのスピードに合わせる必要はない。あなたのペースで働けばいい。」その言葉に救われ、“自分のペースを大切にすること”が働く上での軸になりました。

人それぞれのペースというものがあります。たとえあなたの仕事のスピードが遅かったとしても徐々に仕事のスピードは上がっていきます。大切なのは、毎日コンスタントに仕事に行き、自分に与えられた業務を行うということなのです。

体調の波を“敵”にしない

統合失調症は、体調や気分の波がある病気です。でも、それを「悪いこと」と捉える必要はありません。調子が良い日は働き、つらい日は休む。それも立派な自己管理です。私の場合、体調が不安定な時期は作業を減らし、創作や日記を書く時間に変えました。働く=無理をすることではなく、体と心の声に耳を傾けることだと思います。

無理をして仕事に行き、次の日から何日も仕事に行けなくなるとよくありません。そうならないためにも、体調が悪化する前に仕事を休み、休みが続かないように1日で切り替えるようにすると、ペースを崩さずに仕事ができるでしょう。

【まとめ】病気と仕事、どちらもあきらめないために

統合失調症と働くことの両立は、簡単ではありません。でも、働き方を工夫すれば、無理せず続けることは可能です。

  • 働かない不安も、働きすぎのリスクもどちらも理解する
  • 自分に合った勤務時間(1日4〜5時間)を見つける
  • A型・B型・創作活動など選択肢を柔軟に考える
  • 焦らず、自分のペースで一歩ずつ

大切なのは、「働くか休むか」ではなく、どうやって自分らしく働くかを考えることです。あなたのリズムに合った働き方を、一緒に探していきましょう。これから働こうと思っている方は、ぜひA型やB型の作業所も検討してみてください。

▶ 動画はこちらからご覧いただけます

💬 統合失調症と仕事のバランスについて、当事者の視点からリアルにお話ししています。
フルタイムが難しい方や、就労支援を検討中の方におすすめです。

👉 【YouTubeで見る】統合失調症と仕事のバランス|1日4〜5時間で働くという選択

A型・B型についてまとめた記事はこちらです⬇️

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