はじめに
統合失調症の陽性症状が落ち着いたあと、次に訪れるのが「回復期」です。しかしこの時期は、症状が軽くなった安心感と同時に、「これから何をすればいいのか分からない」という空白と不安が強くなりやすい時期でもあります。
この記事では、当事者として実際に経験してきたデイケア、A型・B型作業所、就労移行支援、創作活動や学びを通して見えてきた「回復期のリハビリのリアル」と「社会参加の多様な形」についてまとめます。
回復期に訪れる「空白」と不安
症状が落ち着いたあとに来る戸惑い
陽性症状が落ち着くと、「やっと回復した」と感じる一方で、日常にぽっかりと穴が空いたような感覚が残りました。毎日が静かすぎて、逆に不安が膨らむこともありました。この不安感は統合失調症を患う人なら誰でも一度は感じるでしょう。
症状が落ち着くのは良いことなのですが、そうなると今度はまた別の難問がやってくるのです。回復はしたような気がするけど、実際に働けるかはわからない。このような不安は回復した証ではあるのですが、大きな難問として当事者を苦しめるのです。
「何もしない不安」と向き合う時期
回復期は、無理に次の目標を決めなくてもいい時期です。ただし、完全に孤立すると不安が増すため、「少し外とつながる場所」を見つけることが大切だと感じました。回復期という期間は、回復するためには必要な時間であるとは思えます。
しかし、あまりに何もしないと逆に不安になってしまうのは仕方ないでしょう。そのような時は、できる範囲で良いので、リハビリを始めると良いかもしれません。何も難しいリハビリをするわけではなく、簡単なものから始めると気が紛れるでしょう。
デイケアで出会った「評価されない表現」
絵画療法・音楽療法・SSTの体験
デイケアでは、絵を描いたり、音楽に触れたり、SST(社会生活技能訓練)を体験しました。上手さや成果を求められない時間は、心を休ませる場になりました。私は、デイケアは非常に優れたリハビリ施設だと思っています。
たくさんのリハビリが展開されていますし、スタッフは皆医療の専門家なので、理解のある環境の中、リハビリを進められるでしょう。だからこそ、私はいろいろな患者さんに、最初の一歩としてデイケアはオススメであると言っているのです。
評価されないことが支えになった理由
「うまくやらなくていい」「比べられない」この環境が、傷ついていた自己肯定感を静かに支えてくれました。そもそも、誰かと比べるという認識がよくないのです。人は人であり、自分は自分なのです。
みんなそれぞれ違っていて、それで良いわけです。ただ、療養中は焦りのあまり、どうしても他人と比べてしまいやすくなります。それを一旦やめて、あくまでも自分は自分と決めてリハビリを実践していくと、無理なストレスを感じずに療養生活を送れるでしょう。
A型作業所で感じた「働く感覚」
ブログ制作・PC作業・軽作業の経験
A型作業所では、ブログ記事制作、PC作業、内職、ピッキングなどを経験しました。仕事内容はシンプルでも、「役割がある」感覚が戻ってきました。この就労継続支援A型という福祉サービスは非常に優れていると感じます。
なぜなら、リハビリをしながら最低賃金が保障された就業環境で働けるためです。つまり、お金をもらいながらリハビリをできるというわけです。だからこそ、最初から就労は難しくても、A型からなら始められる人が多いと思います。
賃金が生む現実感と小さな成功
賃金が発生することで、「社会とつながっている実感」が生まれました。失敗もありましたが、できたことが少しずつ積み重なっていきました。この賃金がもらえるというのは、大きなメリットだと感じます。なぜなら少しで良いのでお金をもらえると、それがやる気につながっていくためです。
お金が全てというわけではありませんが、人が生活するためにはお金が必要です。そして、自分の生活費くらい自分で何とかしたいと考える患者さんも多いでしょう。だからこそ、A型という作業所は非常に良い選択肢だと思います。
B型作業所と創作活動の広がり
イラスト・漫画制作という表現
B型作業所では、イラストや漫画制作に集中できました。調子が悪い日でも、表現だけは残る感覚がありました。B型はA型に比べて就労する日数を自由に選べるため、A型に比べるとはるかに負荷が低いです。そのため、療養明けの患者さんにはオススメです。
私もB型に2年ほど通っていましたが、そこではいろいろな経験ができました。まずは生活リズムが整いましたし、同じような病気を持つ仲間たちとも出会えたのです。社会とつながっている感覚が養えるのもB型の良さだと思います。
増えてきたクリエイティブ系B型作業所
最近は、創作を中心にしたB型作業所も増えています。「働く=生産」だけでなく、「表現すること」も社会参加の一形態だと感じています。私が過去通ったB型の作業所は、クリエイティブな環境が整っていました。
例えば、イラストや漫画を描いたり、音楽や動画を作ったりなど、さまざまなクリエイティブな仕事ができる環境が整っているのです。ですから、このような自分のやりたいことと掛け合わせて仕事ができる場所を選ぶと良いかもしれません。
【まとめ】就労移行支援・学び・リハビリの本質
就労移行支援・ヴァイオリン・英会話の経験
就労移行支援は、次のステップを考えるための選択肢の一つです。就労移行支援の事業所では、就労に向けたいろいろなサポートをしてくれます。例えば、ビジネスマナー講習や、履歴書や職歴所の添削、そして模擬面接などです。
また、趣味で始めたヴァイオリン演奏や英会話などの学びは、世界を少し広げてくれました。仕事以外にも、自分が打ち込める何かがあると、リハビリには良いと思います。ですから、自分が気になったものを何か始めてみると良いでしょう。
回復は一直線ではない
回復は前進と後退を繰り返す流れです。社会参加の形は一つではなく、自分に合った関わり方を選んでいい。それが、回復期のリハビリの本質だと思います。統合失調症の治療は、薬物療法が中心になります。しかし、それだけでは不十分です。
薬物療法と並行して、リハビリを取り入れると相乗効果で回復していくと感じています。特に統合失調症の患者さんは、認知機能が低下しやすいので、それらを回復させるためには、リハビリを取り入れる必要があるわけです。
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症状が落ち着いたあとに訪れる「空白の時間」や、社会との距離感に悩んだ時期のこと、創作活動や学びが心を支えてくれた実感などを、丁寧に書きました。
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